「最近、ほとんど運動をしていない」「前屈をしても、手が床に届かない」「肩も股関節も硬いのに、壁なんて登れるのだろうか」
ボルダリングに興味はあっても、運動不足や体の硬さが気になり、最初の一歩を踏み出せない40代の方もいると思います。
壁を登っている人を見ると、軽々と足を高く上げたり、大きく手を伸ばしたりしています。その姿を見て、「体が柔らかくないとできないスポーツなのでは?」と感じるのも無理はありません。
けれど、初めから同じように動く必要はありません。ボルダリングには、難易度の異なるさまざまな課題があります。まずは、今の自分が無理なく手足を動かせる初心者向けの課題から始められます。
体が柔らかくなってから始めるのではなく、今の体でできることから試してみる。それで十分です。
ボルダリングは、体が柔らかい人だけのスポーツではありません
ボルダリングでは、体の柔らかさが役立つ場面もあります。足を高く上げたり、離れたホールドへ手を伸ばしたりするときには、体が柔らかい方が動きやすいこともあるでしょう。
ただし、柔軟性だけで登るスポーツではありません。
足をどこに置くか。体をどちらへ向けるか。どの順番で手足を動かすか。どうすれば余計な力を使わずに済むか。
こうした工夫によって、無理に体を伸ばさなくても登れることがあります。
同じ課題でも、体格や得意な動きによって登り方は変わります。ほかの人と同じように足を上げられなくても、自分に合う位置や動き方を探せばよいのです。
最初から、足を高く上げる必要はありません
初めての方が取り組む課題には、比較的持ちやすいホールドや、足を置きやすい場所が用意されています。初めから大きく足を開いたり、胸の高さまで膝を上げたりする必要はありません。
届く範囲のホールドへ手を伸ばす。無理のない高さへ足を置く。立ち上がるように、足で体を押す。まずは、そうした基本的な動きから始めます。
登ってみて、「この足の位置は少し高すぎる」「ここまで手を伸ばすと肩がつらい」と感じたら、その課題を無理に続けなくても構いません。別の課題を選んだり、途中で降りたりして大丈夫です。
ボルダリングは、用意されている課題をすべて登らなければならないスポーツではありません。
「体が硬い」と「痛みがある」は分けて考える
体が硬いと感じていても、日常生活の動きに問題がなく、痛みのない範囲であれば、自分に合った課題から試せます。一方で、肩や腰、膝などに痛みがある場合は、無理に動かさないことが大切です。
手足を伸ばしたときに強い痛みが出る。普段の生活でも関節に不安がある。医師から運動を控えるように言われている。そのような場合は、運動を始める前に医師へ相談してください。
「体が硬いからできない」と決めつける必要はありませんが、痛みを我慢して登る必要もありません。その日の体調を確認しながら、無理のない範囲で楽しむことが基本です。
初回は、どのくらい動くの?
初めてボルダリングをする日に、長時間登り続ける必要はありません。
ボルダリングは、一つの課題を登ったら休憩し、また登りたくなったら次の課題へ挑戦するスポーツです。数十秒登ったら、数分休むこともあります。そのため、最初から長く走ったり、激しく動き続けたりする運動とは少し違います。
初回は、初心者向けの課題を試す。疲れたら椅子に座って休む。ほかの人の登りを眺める。体が落ち着いたら、もう一度登る。そのくらいのペースで十分です。
腕が疲れてきた、握る力が弱くなってきたと感じたら、早めに休んでください。「せっかく来たから、できるだけたくさん登ろう」と頑張りすぎないことも、気持ちよく終えるためには大切です。
普段使わない場所を動かす気持ちよさがある
日常生活では、腕を頭の上まで伸ばしたり、足を横へ動かしたり、体の向きを変えながら立ち上がったりする機会は、それほど多くありません。
ボルダリングでは、自分の届く範囲で手足を動かしているだけでも、普段とは違う動きが自然に出てきます。
リッジラインでも、「背中や脇が伸びて気持ちよかった」「肩周りを久しぶりに大きく動かした」「運動不足だったけれど、思ったより体を動かせた」という感想を聞くことがあります。
もちろん、一度登っただけで体が柔らかくなったり、不調が解消したりするわけではありません。それでも、固まっていた体を自分のペースで動かす心地よさを感じられることがあります。
登る前に、少しずつ体を動かす
運動不足の方は、ジムへ来てすぐに壁へ向かうのではなく、軽く体を動かしてから始めると安心です。
肩をゆっくり回す。腕を上げ下げする。足首や膝を軽く動かす。無理のない範囲で体をひねる。
大きく反動をつけたり、痛みを我慢して伸ばしたりする必要はありません。「少し体が温まってきた」と感じる程度から始めます。
最初の何本かは、難しい課題へ挑戦するのではなく、登りやすい課題を使って体を慣らしていってください。
40代からは、無理をしないことも上手な楽しみ方
周りの人が登っていると、「自分も、もう少し頑張らなければ」と思うことがあります。けれど、体力も柔軟性も、運動経験も人それぞれです。
ほかの人には簡単に見える動きでも、自分の体には負担が大きいことがあります。反対に、体が硬くても、バランスや足の使い方によって登りやすい課題が見つかることもあります。
大切なのは、周りと同じ動きをすることではありません。
今日はどこまでなら無理なく動けるか。どの課題なら気持ちよく挑戦できるか。どのくらい休めば、もう一度登れそうか。
自分の体の様子を確かめながら進めることも、40代から運動を続けるための大切な力です。
最初の目標は「たくさん登ること」でなくていい
初回から、何本も課題を登り切る必要はありません。
壁に手をかけてみる。足の力で立ち上がってみる。初心者向けの課題を一つ登ってみる。登れなかった課題を、もう一度試してみる。そこまでできれば、十分な体験です。
最初は思うように体が動かなくても、何度か試すうちに、足の置き方や力の抜き方が少しずつわかってきます。
「登れなかった」だけで終わるのではなく、「ここまでは進めた」「この動きは意外とできた」「次はもう少し試してみたい」という感覚を持ち帰れたら、それが次につながります。
体が柔らかくなってから、と思わなくて大丈夫です
運動を始める前に、「まずは家で体を柔らかくしてから」「もう少し体力をつけてから」と考える方もいます。けれど、一人で準備を続けているうちに、始めるタイミングを逃してしまうこともあります。
体が硬くても、運動から離れていても、今の自分に合う課題から始められます。
実際に登ってみることで、どこが動かしにくいのか。どんな動きが得意なのか。どのくらいで疲れるのか。自分の体について、初めて気づくこともあります。
できない動きを無理に克服するのではなく、今できる動きから楽しむ。それが、ボルダリングの始め方です。
初めての方には、基本のルールを案内します
リッジラインでは、初めての方に課題の見方や基本のルールを案内しています。どの課題から始めればよいかわからないときは、スタッフへ尋ねてください。初心者向けの課題の中から、取り組みやすいものを案内します。
クライミングシューズや滑り止めのチョークはレンタルがあります。ジム内には更衣室もありますので、動きやすい服装で来てください。
運動不足だから。体が硬いから。それだけで、ボルダリングを諦める必要はありません。まずは、今の体でできることを試してみてください。
思っていたより手が届いた。思っていたより足で立てた。体を伸ばすことが気持ちよかった。そんな小さな発見が、体を動かす習慣の始まりになるかもしれません。

