子どもの送迎が少なくなった。休日の部活動や行事に付き添うことも減ってきた。週末に、自分の予定を入れられる日が少しずつ増えてきた。そんなとき、ふと気づくことがあります。「空いた時間に、何をすればいいのだろう」。
子どもが小さかった頃は自分の時間が欲しいと思っていたはずなのに、いざ時間ができると、どう使えばよいかわからない。家でゆっくり過ごしていても落ち着かず、スマートフォンを眺めているうちに休日が終わってしまう。そんな40代の方に、新しい趣味の一つとして知ってほしいのがボルダリングです。
欲しかったはずの自由時間に、戸惑うことがある
子育て中は、毎日が予定で埋まっています。朝の準備、送迎、休日の行事、食事や買い物。自分のことは後回しになり、「一人で自由に過ごせる時間があれば」と思うこともあったかもしれません。
ところが、子どもが少しずつ手を離れ始めると、今度は時間の使い方に戸惑います。「自分は何がしたかったのだろう」「休日に楽しみにできるものがない」「家族以外に、自分の時間を過ごせる場所がない」。
時間が空いたことはうれしい。でも同時に、少し寂しさや手持ち無沙汰を感じる。長い間、家族のために時間を使ってきたからこそ生まれる自然な気持ちだと思います。
休むだけでは、満たされない時間もある
忙しい時期には「休みの日くらい、何もせずゆっくりしたい」と思うものです。家で体を休める時間も大切です。
ただ、休日のたびに家で過ごしていると、体は休んでいるはずなのに、気持ちはあまり切り替わっていないと感じることがあります。テレビやスマートフォンを眺め、家事を済ませ、気づけば夕方。「今日は何をしていたのだろう」という物足りなさが残ることもあります。
必要なのは、予定をたくさん詰め込むことではありません。自分が少し楽しみにできる時間を、日常の中に持つことです。
40代からの趣味は、続け方を自分で決められるものがいい
新しい趣味を探すとき、「せっかく始めるなら長く続けなければ」と考える必要はありません。毎週決まった曜日に参加する。仲間と予定を合わせる。高価な道具を最初からそろえる。そうした始め方が合う人もいますが、仕事や家庭の予定がある40代には負担になることもあります。
一人でもできる。思い立った日に行ける。短い時間でも楽しめる。体調や予定に合わせて休める。そのくらい自由な方が、生活の中へ取り入れやすくなります。
ボルダリングは、誰かとチームを組む必要がありません。毎週同じ時間に通う決まりもなく、休日に時間が空いた日、仕事が少し早く終わった日、体を動かして気分を変えたい日に、自分のペースで取り組めます。
ボルダリングには、大人が夢中になれる時間がある
ボルダリングは、壁に設定された課題を、決められたホールドを使って登る遊びです。ただ上まで登ればよいのではなく、どこに足を置くのか、どちらの手を先に動かすのか、体をどの向きにすれば次のホールドへ届くのかを、一つずつ考えながら登ります。
最初は思うように体が動かないかもしれません。けれど、足の位置を少し変えただけで、先ほど届かなかった場所へ手が届くことがあります。何度か試していた課題が登れたときには、大人になってからも思わずうれしくなる達成感があります。
仕事や家のことを考えていた頭が、いつの間にか目の前の一手だけに集中している。ボルダリングには、そんな時間があります。
子どもの応援ではなく、自分が挑戦する側になる
子育て中は、子どもの挑戦を見守る場面がたくさんあります。試合へ送り出す。発表会を見守る。できなかったことができるようになる姿を応援する。その時間は、親にとっても大切なものです。
子どもが成長した後は、今度は自分が何かへ挑戦してもよいのではないでしょうか。前回登れなかった課題にもう一度挑戦する。少しずつ体の使い方がわかってくる。自分にもまだ、できることが増えていく。誰かの成長を見守るだけではなく、自分自身の変化を感じる。それは、子育て中にはなかなか持てなかった時間かもしれません。
うまくなることだけを目的にしなくてもいい
新しい趣味を始めると「上達しなければ意味がない」と思ってしまうことがあります。けれど、ボルダリングの楽しみ方は、難しい課題を登ることだけではありません。
体を動かして気持ちよく帰る。一つの課題を、何度も考えながら楽しむ。家でも仕事でもない場所で、一人の時間を過ごす。それだけでも、十分な趣味になります。
通う頻度も人それぞれです。毎週登る方もいれば、時間ができたときに来る方もいます。忙しい時期には間が空き、また登りたくなったら再開してもかまいません。生活のすべてを趣味に合わせるのではなく、今の生活に合う形で趣味を取り入れる。それが40代から長く楽しむうえで大切なのだと思います。
夫婦や家族が、同じ趣味を持つ必要はない
子育てが一段落すると、夫婦で一緒に過ごす時間が増えることがあります。その一方で「休日は、いつも夫婦で行動しなければいけないのだろうか」と感じることもあるかもしれません。
夫婦で同じ趣味を楽しむのも素敵なことです。けれど、それぞれが自分の好きなことを持つという過ごし方もあります。一人は家でゆっくりする。一人は外へ体を動かしに行く。帰ってから、それぞれが過ごした時間について話す。
自分だけの趣味や居場所を持つことで、家庭の中にも心地よい距離が生まれることがあります。もちろん、興味があれば夫婦や友人と一緒に始めることもできます。最初から誰かを誘わなくても、一人で始められるのがボルダリングのよいところです。
まずは、予定のない休日に少しだけ
新しい趣味を始めるために、大きな決意は必要ありません。これから毎週通うと決める必要も、最初から道具をそろえる必要もありません。
予定のない休日に、一度見学してみる。初心者向けの課題を、いくつか登ってみる。自分に合いそうか、体験してから考える。それくらいの始め方で十分です。
リッジラインでは、初めての方に基本のルールを案内しています。クライミングシューズとチョークはレンタルがあり、動きやすい服装があれば始められます。
子育てに使ってきた時間が、少しずつ自分へ戻ってくる。その時間を、ただ埋めるのではなく、自分が楽しみにできるものへ変えてみる。ボルダリングが、これからの毎日に新しい楽しみを増やすきっかけになるかもしれません。

